向山繁のコラム(アーカイブス1)
美しいものを見て感動するという機会が、今の企業で働く皆さんには欠けているのではないでしょうか?仕事に追われ余裕を失い、美術館やアートギャラリーに行く時間も気持ちも持てない人が増えているように感じます。
そこで提案があります。企業の役員フロアに美術品を展示し、プレミアムフライデーの午後などにオープンフロアとして社員に解放し心を豊かにしてもらうのです。
役員フロアは、普段は人の気配も無く生産性の低いスペースです。ここに若干の投資を行い、スペースの生産性を向上させるのです。社員の心を豊かにするという投資は、結果がすぐに見えるものでは有りませんが、将来必ず成果として現れるものと信じます。
バブルの頃は多くの企業が、フィランソロピーと称して様々な活動をしていましたが、景気が悪くなるとともに殆どの企業が撤退し、知らないうちに消え去ってしまいました。単に余剰利益の使い道という位置づけだったからでしょう。それに対して私のご提案は、あくまでも人への投資という位置づけです。豊かな気持ちになった社員の皆さんは益々仕事に励み、生産性を向上させていくでしょう。
企業で美術館を作ったりするのと異なり、オープンフロアは多くのコストを要しません。企業経営陣の皆さん、是非社員の皆さんの心に投資してみては如何でしょうか?ついでに、役員室も開放して皆に見てもらうのも良案では?
2017年4月15日
向山繁
海外ビジネスを志す企業様とお話しすると、決まって英語が出来ないからなかなか外国企業との商談が進まないので困る、というお話をよくお聞きします。
もちろんビジネス英語ができればそれに越したことはありません。ということで、一所懸命に英会話を習ったりする方もいれば、もう無理とあきらめている方もいらっしゃいます。
しかし、外国との商談や交渉で一番大切なのは語学力ではありません。
自分の製品に如何に価値があり、自分と取引することが如何に相手に利があるかを相手に伝える、その迫力です。
日本人は交渉下手とよく言われます。その通りだと思います。その理由は明確で、日本人が謙虚だからです。その謙虚さは相手から見ると「本当に自分と取引をしたいのか?」という単純な疑問に繋がります。
交渉を上手に行うためには、もちろん交渉技術が必要です。この技術は一朝一夕には取得できるものではありません。経験も必要です。ただ、今すぐに皆さんにできることがあります。それは、
・初対面の時、相手より強い力で握手をすること
・ぺこぺこお辞儀をしないこと
・商談や交渉時、通訳が相手に話している時にも下を向かず相手の目をじっとみること
やることは簡単です。ただ度胸が必要です。謙虚さではなく大胆さが必要です。これをやることで従来の壁を乗り越えることが出来るはずです。
次に予定されている商談で、是非実践されてみては如何でしょうか。
交渉に必要なのは、語学力ではなく握力と迫力です!
2017.3.26
向山繁
既にご連絡の通り、3月4日まで開催された展示会Obata Yuji: Contemporary Arita Porcelainの主催者として、10日間ほどニューヨークに滞在しました。
寒さや、ひょっとしたら雪も降るのではと覚悟していましたが、滞在期間中は例外的な暖冬で、おおむね好天、日によっては20度近くにまで気温が上がるほどの陽気で、とても快適な滞在になりました。
展示会はギャラリーエリアのチェルシー地区にある大西ギャラリーで開催されました。申し分のない場所です。ギャラリーのオーナー大西なな様からは、開催に関して非常に親切なご対応、ご協力を頂きました。この場をお借りし、心よりお礼を申し上げます。
白磁のキャンバスに描かれた小畑氏の「海の生き物たち」は非常にビビッドで、思いがけないほどチェルシーに良く似合っていました。また彼が描く、日本人が特別な愛着を持つ桜を、果たしてニューヨークのアートファンが理解してくれるのかという不安はすぐに一掃されました。入口に飾った枝垂桜の大花瓶を、来場者たちは、驚きと感動の表情で鑑賞されていました。美への理解は国境を超えるのだと、ほっとしたと共にとても嬉しく思いました。枝垂桜はその後アジアウイークにおいてもニューヨークアッパーイーストにて展示され、世界中の美術関係者に温かい評価を頂きました。
日本の新しい美の表現を世界へ紹介するミッションは、何とか最初の一歩を踏み出すことが出来ました。日本の新しい美を、世界の人々と共有することの素晴らしさを感じることもできました。
今後さらにもう一歩もう一歩と前進していかなくてはと、心より感じた次第です。
2017年3月20日
向山繁
小畑裕司氏のインタビューがYouTubeにアップされています!
at Onishi Gallery, Chelsea, New York
オープニングレセプションには、大変多くの方がお越し下さいました。
オープニングの前に、アーティスト小畑裕司氏とご一緒に。
日本では、「水と安全はタダ」と言われてきました。
近年環境は変わったとは言え、これは今も変わっていないと思います。では、これらは日本のビジネス戦略に反映されているでしょうか?
まず安全ですが、安全は、そのまま箱に詰めて売る訳にはいきません。しかし例えば、外国からの観光客が日本に来て、都会の夜も女性一人で歩ける国であることに気づくでしょう。これは立派なビジネスです。直接お金になりませんが、間接的に観光ビジネスの経営資源として有効活用されています。
では、水はどうでしょう?外国人観光客が食堂に入るとコップに入った普通に美味しい水がタダで出てきます。これは立派な付加価値の提供です。しかし水は安全と違って直接販売できます。日本としてこの部分を
もっと強化し、お金がもうかるビジネスにすることは出来ないでしょうか?
ミネラルウオータービジネスはフランスが得意です。しかし、日本はフランスと違って超軟水でクリーンな水を多量に生産できる希少な国です。もっと積極的に水ビジネスの戦略を考える必要があると思います。
水は、重くて運ぶのにコストが掛かるからビジネスにはならないとよく言われます。でも、それであきらめずに、何か日本的な売り方を考えたら如何でしょう。例えば日本米との併せ販売(同産地の米と水の組み合わせセット)、ウイスキーを薄めるための高級天然水をPETボトルではなく瓶で売る、国内の非常時によく見る5リッターぐらいのビニール袋水、などなど色々とアイデアが有りそうです。
空港の免税店や銀座の地方アンテナショップで、日本の天然水のコーナーが幅を利かせている姿を、今想像しています。
2017/1/17
向山繁
皆さま
新年明けましておめでとうございます!
鎌倉は、穏やかな晴天で新年を迎えました。このお天気とは対照的に、世界の政治・経済は先の読めない状況で、さらなる波乱を予感させます。そんな中で、日本が進むべき方向を如何に見出すかが私たちの重要な課題です。エピックジャパン株式会社は、少しでも日本の経済復活のお役に立てるよう、微力ではございますが全力をあげて臨んでいく所存です。本年も、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
末筆ではございますが、皆様のご健勝、企業様のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。
2017年 元旦
エピックジャパン株式会社
向山 繁
皆さま
有田を訪れ、陶磁器作家の作陶を拝見し、色々とお話を伺いました。そこで、一つとても大事なことに気付かされました。それは、作品の「命」の貴重さです。
乾燥のときに形が崩れ、素焼きの時にひびが入り、白磁に焼くときに割れ、色付けして焼く時にも割れてしまう…。一つのものが完成するまでに、いくつもの生まれてこなかったものたちがあることを知りました。我々見る側はそのことを知らず、出来上がった作品にどうのこうのと注文を付け、値段が高いなどと勝手なことばかり言います。しかし、最終的な作品になることが如何に希少で貴重であるかを、我々は知る必要があります。そこには作家の命の息吹が吹き込まれています。やっと生まれた作品の価値は、もっと人々に知られ評価されなければならないと感じました。
2016/12/25
向山繁
医療メーカー、クラウンジュン・コウノ社河野社長と共にインタビューを受けました。
江ノ電に揺られ鎌倉に向かいながら、PPAPと日本のアートについて考えていました。
我々日本人がもっているもので何が外国人に受けるのか、日本人自身が分析して見出すことは残念ながらほとんど不可能です。いつも目にするのは、日本人が何気なく行っていることに外国人が鋭く反応して発信し、それが世界で流行っていく構図です。
海外で受けるものが、日本人には特別良いものには映りません。えーそれが受けるの?なんていうものが少なくありません。これがまた不思議でならないのです。不思議に思うとともに、正直なところ悔しくてしかたありません。
なぜなのでしょう?
そこで仮説ですが、日本人の一つ一つの無意識な所作が、多くの要素を含み重層的に積み重なった文化であるからこそ、そこから切り取られる、日本人にとって何気ないものまでも、外国人に意味を与えるのではないでしょうか。
そうなると、日本人が外国人に受けるものを自分たちの手で見出そうなどということは所詮無理と思った方が、気が楽です。そこは、外国人に見つけてもらいましょう。そして素直にそれを自分たちが持つ文化であるとして受け入れましょう。
そんなことを考えながら見た長谷寺のもみじは、艶やかな赤に光り輝いていました。
2016/11/26 向山繁
以前海外の酒類事業に携わっていたときに、日本酒メーカー様から、海外で日本酒を売るにはどうしたらよいでしょうかというご相談を良くお受けしました。私は、現在の日本酒の戦略は少し間違っているように感じています。
まず、ワイングラスで飲ますこと。これには私は反対です。もう日本酒WHAT?という時代は終わりました。そして日本酒をワインの類似品にしないためにも、ワインを飲むWINE GLASSのように、日本酒を飲む器として”SAKE GLASS”というカテゴリーをつくるべきです。
ハッピを着て升で樽酒という日本酒の販促活動を、まだしばしば見かけます。この方法は、如何にも男性向けです。日本酒の競合は白ワインでは無く、むしろ私はシェリーやベルモットではないかと考えます。「ターゲットは女性」をもう少しクリアにしては如何でしょう。
食中酒としての日本酒は、否定しません。しかしそれだけでは、和食に限定されてしまいます。食を問わず、例えば食前酒として広めていくのも一つのアイデアかと思います。食事の前に、まずは1杯の日本酒から始めましょう。
その他、産地指定、ボトルサイズ、熱燗などの飲み方提案等々。日本酒は今後ますます海外に市場を求めていくことになりますが、アイデアは尽きません。
20116/10/22 向山 繁
大企業病は大企業で起こるもの、と皆さんは考えているでしょうが、実は多くの中小企業で大企業病が起きています。どういうことでしょう?
小さな会社の場合、社長は個々の社員と直接コミュニケーションを計り、社員は社長だけを見て仕事をしています。丁度鵜飼と鵜のような関係です。事業規模が拡大してくると社長は、何々事業部、何々部といった組織を作り、事業部長、部長といった経営幹部を置いて間接統治を計ります。
見栄えのする組織とポストが記された名刺、部下と権限、そして高給を手に入れた事業部長や部長は、部下に仕事をさせ自分の手柄として社長に報告します。こんな良いポストはありません。そして、これを手放すまいと、良い結果だけを選んで報告するようになります。部下となった社員も変質していきます。社長とのコミュニケーションを失い、自由闊達や挑戦するメンタリティを失っていきます。失敗を恐れて無難な仕事をし、上司には無難な報告をするようになります。
こうして中小企業の大企業病が生まれていきます。中小企業の場合、人材が少なく人事異動などによる自浄作用をしにくい分、重症になる可能性が高くなります。
解決法は無いのでしょうか?答えは一つ、それは社長本人です。これまで与えていた権限を社長に戻し、リーダーシップを持って直接経営をやり直すことです。中小企業経営者にとって、組織化や権限移譲のタイミングは非常に難しい課題で、最新の注意が必要です。決して急ぎ過ぎてはいけません。
2016/10/11 向山 繁
先日、とある美容品専門店にお邪魔したときに、とても上品な80歳代のご婦人がご来店されていて、お店の方にお化粧のアドバイスを受けておられました。その時のご婦人の嬉しそうな顔が忘れられません。私は男なので、美容にとやかく口を出す資格はありませんが、ひとつ提案があります。それはご高齢者向け美容です。世の美容メーカーは、中年のご婦人、特に富裕層のご婦人をターゲットに高価な化粧品を開発、販売されておられるようですが、さらにその上の、80歳代あるいは100歳に至るまでの終身美容についてはまだあまり見ないようです。
美容メーカーが、ご老齢の方に合った、年金でも購入できる価格帯の化粧品を開発し、美容専門家が、病院や介護施設で美容講座を開いたり、在宅介護のご老人に対する美容アドバイスをおこなえば、おばあちゃんたちも女性としての心を取り戻し、笑顔を見せてくれるのではないでしょうか。そしてこれらはビジネスとして成立すると思うのです。
私の母は91歳で他界したのですが、家で寝たきりになる80代後半になっても、時間があると近所の美容院に髪をセットに行っていました。男ながらに、いつまでたっても女性は女性なんだなぁと感心したものです。
ますます進む高齢化の日本では、ご高齢者に笑顔が少なくなっています。景気回復は彼女たちの笑顔から、と思うのですが如何でしょうか?
2016/10/08 向山 繁
雑草続編です。
大企業が幹部候補の新卒者を過剰に抱え込むことが、中小企業の発展を阻害する大きな要因になっています。
新卒で大企業に入社した人たちは、50代後半まで企業の出世競争を繰り広げます。そして勝負に負けた人たちは、能力があってもその企業では余剰人員となり、周辺事業や子会社に異動します。最近では企業側が戦略的に周辺事業を切り捨てるため、行き場すら無くなっている人たちが多くいます。
一方の中小企業は、新卒で幹部候補を採用し育成することが出来ず、慢性的な経営幹部の人材不足に悩まされています。
つまり、この大企業の人材抱え込みが、日本の産業界で企業と人材のミスマッチングを起こし、有望な中小企業の発展を阻害しています。
そこで大企業に提案です。もっと早い段階、例えば30代半ばの課長昇進の段階で出世競争の勝負を決めてしまい、敗者には最高レベルの条件を与えて早期退職を促しては如何でしょう。そうすれば幹部人材の流動性は一気に高まり、中小企業を支えるポストに人材を供給できます。
大企業は自社のことだけ考えるのではなく、雑草の種を他の地へ運ぶ鳥や風の機能となって人材を供出すれば、大きな社会貢献になるのではないでしょうか。
2016/9/26 向山 繁
規模の小さい企業は、大きな市場で大企業に正面きって戦っても勝てません。大きな市場で戦えないのなら、小さい市場で戦わざるを得ません。必然的に規模も小さくなります。普通はここで考え方が消極的になってしまいます。
しかし勝ち組のシナリオを作ることは可能です。まず国内ニッチ市場で高付加価値のビジネスモデルを構築し、次にそれを世界市場に展開して一気に事業を拡大するというシナリオです。高付加価値を生むためには、世界一のものをつくる技術が必要です。例えば世界最小、世界最短、世界最薄、世界最細等々、最後に付く字は色々あると思います。これこそ日本人が得意とするものづくりの分野です。この技術を存分に発揮して世界一の製品をつくることができれば、戦う市場は一気に拡大します。
ワールドニッチトップ戦略で、世界の市場を切り拓いては如何でしょう?
2016/09/19 向山 繁
オーバーエイジ革命!
先日、人材派遣会社トップの方にお話しを伺いました。特に退職前後のシニア層をターゲットにされている会社で、最近は、企業退職者の再雇用希望が増えていて、インタビューの頻度も高まっているそうです。
60歳になるまで40年近く一つの看板の下で、同じマークの名刺を使って働いてきた人たちは、その双方を失う時、かなり戸惑うそうです。
そのような方が人材会社のドアをノックするのですが、話を聞くと、具体的にこれをしたいと言う方は少なく、これまでの経験をもとに何かしたいという漠然とした考えだけを持って来られるそうです。
世の中人手不足で困っているというニュースをよく聞きますが、これらのオーバーエイジ層がもっと役割を担う方法は無いのでしょうか?まだ働くエネルギーと、世の役に立ちたいという希望を持っている人たちが、決して世の中の付随する層では無く、新たな主勢力として形成されたら何と素晴らしいでしょう。若者の食い扶持ぐらい俺たちが稼ぎ出してやる、ぐらいの勢いを持った層を作り出すのが私の夢です。
まずはソサエティづくりからでしょうか。
2016/09/18 向山 繁
昨日、ファッションデザイナーの丹治基浩さんとお会いし色々お話しをお聞きしました。丹治さんは、2015/16東京コレクションにも参加、これから世界に羽ばたこうという新進気鋭のデザイナーです。ニットの芸術家です。
アーティストは、好きなものを造り続けたいという欲求と、それを継続していくための財政的基盤の必要性という、二つの相反する面を抱えています。後者は、かつてはパトロンが機能を果たしていましたが、残念ながら現在多くは存在しません。これからの時代、この機能を果たす有効なシステムが出来れば、有能な日本の若者が世界で活躍する場面がもっと増えるでしょう。
既に、インターネットによる販売や商社との提携による製品開発などを活用してビジネスを行う方法はあります。しかし私は、様々な手法を組み合わせ、さらに良い方法を構築することが出来るのでは、と思索しています。これがうまく機能すれば、日本からまた新しい世界ブランドが生まれます。
2016/09/15 向山 繁
先日東京を車で走っていたときに、あらためて日本の車のナンバープレートの愛想の無さを実感しました。普通車は白地、軽は黄色、商業車は緑と、単に色分けしただけで、デザインもなければ模様も無い、本当にそっけないプレートだと痛感しました。
2020年の東京オリンピックで、世界中の人たちの訪日を様々な手段のおもてなしで迎え入れようとしている日本ですが、このナンバープレートはとても退屈でいただけけません。例えば米国のナンバープレートは州毎にキャッチフレーズがついており、週によってはデザインが施されていて、見ていてとても楽しいです。
せっかくリオの閉会式で夢のような日本を演出したのですから、政府、国土交通省はもう少し「ちゃめっけ」を出して国のイメージづくりを演出されたら如何でしょうか?
2016/08/28 向山 繁
9月2日にウラジオストクで日ロ首脳会談が予定されており、それに合わせてプーチン大統領の日本訪問が見込まれています。日ロ双方でそれぞれの思惑がありますが、極東ロシアの経済促進については方向性を共有化しているものと思われます。そこで、プーチン大統領にご提案です。
ご提案①カムチャッカの天然水を製品化して日本や欧州に輸出。
極東を見たとき、森林資源の次に目につくのが水資源です。特にカムチャッカの水は、日本に似たクリーンな軟水なのではないでしょうか?しかし環境保護が理由なのか(表向きだと思いますが)、ほとんど手つかずのままです。ここに、日本の技術を導入した設備を作り、自然を守りながら計画的に天然水を採取するのです。そうすれば環境を壊すことはありません。あまり良い質の飲用水が出回っていないロシア市場向けに、そして日本などへの輸出にと、大きな可能性があります。
ご提案②極東で製造したウオッカをカムチャッカの天然水で希釈し、アルコール度数20度の「ロシアSHOCHU」を製造し、日本に輸出。
ロシアの生産物といえば、まずウオッカでしょう。ただ、アルコールの質は、ソ連時代からの精製設備を使用しているためか余り良くありません。そこで、日本の蒸留技術を導入して上質のアルコールを造ります。通常ウオッカのアルコール度数は40度ですが、これを上記の天然水で半分の20度に希釈し「ロシア焼酎」を製造するのです。これを日本に輸出する、というのは如何でしょう。
産業といえば、自動車、機械に意識が行きがちですが、ここは一度発想を転換し、ロシアの強みを見直して新たな産業へチャレンジをしてみるのは如何でしょうか?
2016/08/24 向山繁
浮世絵は、江戸時代の庶民の文化で、伊万里焼を包む紙として使われ、欧州に渡り、そこで新しい文化として熱狂的に受け入れられました。しかし当時の日本人は、もし現代の言葉を使えたとしたら、浮世絵のことを、サブカルチャーと呼んでいたことでしょう。
日本人は、自分たちの身の回りにある様々な美の文化を、無意識に見過ごしています。私たち自身、これらの美を少しおろそかにし過ぎているのではないでしょうか?あるいは、日常の生活の中に溶け込み過ぎてしまっているために気が付かないのでしょうか?それとも、きちんと文化として伝えることに照れを感じるのでしょうか?
日本人は、歴史があって家元がいるものを伝統文化と呼んで重んじます。しかしだからと言って、新しい美をさげすむのはやめましょう!この姿勢は、時に外国の人たちに誤解を与えます。
まずは、マンガやアニメをニューカルチャーと呼び、ラーメンや焼きそばをニューライフスタイルグルメと呼ぶぐらいの勇気を持ちましょう!
2016/08/17 向山繁
4年に一度のオリンピック開会式を観る度に、私は少々憂鬱になります。その原因は、日本選手団のユニフォームです。正直言わせて頂きますと、おそらく全世界の選手団の中でワースト3に入ると思います。
日本には数多くの織物や染め物の伝統があります。これらの伝統を用いて、それに加えて斬新なデザイン力で、場合によってはアニメやコスプレの大衆カルチャーなども取り入れて、見たこともないような新しいユニフォームを作れないものでしょうか?オリンピックの開会式は4年に一度の世界最大のファッションショーです。せっかく日本をアピールできる絶好の機会なのですから、なぜそれをやらないのでしょうか?こういうときこそ、COOL JAPANの見せどころではありませんか!
そこで提案ですが、2020年の東京オリンピックでは、是非大々的なデザインコンペをやりましょう。世界を驚かす斬新なユニフォームをつくり、それを着た日本選手団を皆で送り出そうではありませんか!
2016/08/06 向山繁
一昨日、昨日と、博多経由で有田焼の打ち合わせで有田を訪問しました。有田は梅雨も明け、35度の猛暑でした。
さて、有田をはじめ日本の陶磁器は、歴史的に一時の隆盛を過ぎ、現在は再活性化を図っている時期です。多くの陶芸産地はあらたな境地を見出すために、様々な工夫を凝らして作陶を行っています。ただ、海外への販売となるとそう簡単ではありません。
そもそも日本人が造る作品を評価してきたのは、外国人でした。陶磁器も浮世絵も生け花も、最近では伊藤若冲もしかりです。日本人には、あまりにも普通に生活の中に浸透してしまっているため、自分たちの美の価値に気づきません。
日本の美を国際ビジネスにしていくためには、そのようなものを、外国人が美として切り出すステップが必要なのだと思います。日本人が出来ることはそのための機会づくりです。
「株式会社ゆうクリエーション」を通じて、そのための方策を具体的に考えていきます。
2016/08/01 向山繁
右:河野淳一社長、左:筆者
7月26日、株式会社河野製作所/株式会社クラウンジュンコウノの河野淳一社長を訪問させて頂きました。1年前より、同社のビジネスサポートをお手伝いさせて頂いています。
同社は長年、医療機器の製造販売を専門にされています。高いものづくり技術により世界一小さい医療針を製造することでも有名で、日本が誇るGlobal Niche Topメーカーの一つです。
河野社長は、リーダーシップ型の経営者様でおられ、経営、技術、営業などの分野で多面的にリーダーシップを発揮されておられます。PR戦略の強化ということで最近ホームページも刷新され、生き生きとした社風を感じさせる素晴らしいものになっています。
医療のニッチ市場ということもあり、まだ事業規模は大きくはありませんが、将来必ず大きな会社に発展し、日本を代表する世界の医療メーカーになっていくでしょう。
2016/07/27 向山繁
<刷新したホームページ>
経営戦略を実践する企業では、いわゆる集中と選択によって不要と判断された事業や子会社を整理したり売却したりします。西洋的な合理主義です。
しかし私は、実はこの考え方にやや疑問を抱いています。この合理主義が、企業が育んできた文化や柔軟性を失ってしまっているのではないかという疑問です。合理主義は、将来他の事業が必要になれば買収すればいい、といいます。しかし、それでは企業文化の醸成はなされないと考えます。
企業の文化や柔軟性は、「あそび」となって現業を豊かにし、将来の新たな事業を生む土壌になると考えます。すべてきれいに刈り込むのではなく、少しは雑草を生やしておきましょうというご提案です。
コスト削減や利益率の追及に邁進されている企業の経営者の皆さま、たまにはこの点についてご一考されるのも意味があるのではないでしょうか。
結果として、企業文化ばかりではなく、日本の文化自体をも失っているかも知れません。
2016/07/23 向山繁
当社が携わっている、小畑裕司氏、辻聡彦氏の高級美術品ビジネスとは別に、よりカジュアルな有田焼の開発も検討しています。そのベースとなるデザインとして制作したものが、この「有」ロゴです。有田の「有」の文字を基本に、窯で磁器が焼かれるアクティブな様を表現したもので、株式会社ゆうリエーションのロゴにもなっています。
有田焼の伝統のイメージとは異なったポップなデザインで、高級美術品とは別の、もう一つのビジネスモデルとして検討しています。このロゴをインスピレーションに、新しいポップな食器のデザイン開発、商品化を行っていきたいと考えています。
2016/07/09 向山繁
ニューヨークで感じたこと…
5日間程ニューヨークに出張に行ってきました。何年かぶりのマンハッタンを歩きながら感じるのは、やはりにじみ出るエネルギーです。新宿副都心よりもはるかに高いビルが立ち並び、世界中の観光客が闊歩しているからという見た目の理由からでは無く、何かそのようなエネルギーを感じます。
例えば東京をニューヨークと較べると、街はきれい、物価は安い、美味しい食べ物がたくさんある、安全…等々多くの点で優っているのですが、残念ながらこのエネルギーは感じません。
ニューヨークは、世界中から良いも悪いも多くの野望が集まる場所。そのような野望が目に見えないエネルギーとして顕れるのでしょうか。一方、日本人は良いものを造り良いアイデアを考えますが、それを強く外にアピールするエネルギーが足りません。この違いがそのまま街に映っているのでしょうか。
日本人が、この違いを打ち破るぐらいの強いエネルギーを世界に発せられるか、それが日本のビジネス発展の鍵であると感じた次第です。
2016/06/25 向山
鎌倉について少々…
本日、鎌倉の大仏様まで足を延ばしてきました。久しぶりの大仏様は期待を裏切ること無く、とてもエレガントでした。観光客もたくさんいましたし、「鎌倉は何の問題も無し」となるのでしょう。
しかし私の目には、鎌倉は課題をたくさん抱えているように感じます。
まずは、道が狭いのに車と人が多くとても危険です。そのカオスさはかつての発展途上国並みです。地形的に道を広げることが難しいのはわかりますが、それならばせめて週末ぐらいは歩行者天国にすべきでしょう。
次は、電柱や電線です。鎌倉の風致地区条例は、住宅の高さを8メートルに規制していますが、道には平気で電柱が立っていて風景を壊しています。これでは規制の意味がありません。
それから思ったのは、鎌倉の伝統や文化を象徴する店舗が本当に少ないことです。いわゆる観光地的な店舗があるのは仕方有りませんが、本当の鎌倉の文化を象徴するものが少ないように感じます。鎌倉の文化って何なんだろう、とつくづく思いました。
今更分かっているわい、というものの羅列なのでしょうが、鎌倉が本当に世界の観光地を目指すのなら、早急に解決すべき課題では無いでしょうか。100年先の鎌倉が廃れないためにも。
2016/06/12 向山
ロシアのビジネスから離れて1年が過ぎました。足掛け10年ロシアビジネスに関わった私がずっと夢見ていたのが、「東ロシア」市場への進出でした。シベリアから極東に至るこのエリアは、欧米にはあまりにも遠いようで進出意欲が無く、手つかずのままです。エネルギー産業は例外として、日本の企業も同様のスタンスです。
しかしこの「東ロシア」市場こそ、日本に計り知れない恩恵をもたらす桃源郷になると私は考えています。キーはウラジオストクです。ただ、発想の転換が必要です。この都市を人口60万人の一都市と考えるのでは無く、人口3~4千万人の「東ロシア」全体の拠点として位置づけることです。日本製品をこの港(および隣接港)で輸入通関し、ロシア国内のトラック流通などで「東ロシア」全体に行きわたらせるのです。「東ロシア」の人たちの購買意欲は旺盛でです。しかし、良いものが店にありません。そこに高品質のメイドインジャパン(例えば食品や消費財)が、低流通コストによって実現する適正価格で販売されるようになれば、飛ぶように売れるのでは無いでしょうか。
そして、大企業はロシア市場=欧州ロシアと考えますから、「東ロシア」は中小企業にとって大きなチャンスです。ただ、企業単体で挑むにはロシアは難し過ぎます。日本が一丸となって日本製品を売るシステムを構築しなければなりません。
ロシア経済の現状を見るとビジネスチャンスは皆無に見えますが、日ロ友好条約の締結が近々あるとすれば、それは好機となります。日本政府が率先してロシア政府と交渉し、「東ロシア」でビジネスをしやすい環境を作れば、日本にチャンスはあります。そうなることを熱望しています。
2016/06/05 向山
ものづくり企業にとっての海外進出とは…
海外進出を検討される場合、すぐに駐在員事務所や現地法人を作ろうとしてしまいがちですが、それよりまずやるべきことがあると感じています。それはメッセージの発信です。特に中小メーカー様のホームページを拝見させて頂くと、企業メッセージやブランドメッセージが十分に、そして正しく発信されていないようです。この状況は非常にもったいないですね。企業は高いレベルのものづくりをしているのですから、きちんとしたメッセージを発信すれば、こちらが売りに行かなくても相手が買いに来る状況を作り出すことができます。とかくおろそかになりがちですが、まずは自らの戦略を見つめなおし、しっかりとしたメッセージを構築し、そして発信することが重要です。
急速に伸長するインバウンドで、国内外の境はどんどん縮まっています。わざわざこちらが海外に出向いて行くのではなく、日本に居ながらにして世界進出を実現させることは可能だと思います。向 山
先日、北陸某市の事務所をおじゃましました。いろいろお話をしてみると、職人のものづくりのレベルの高さと、それとは対照的にマーケティング視点での戦略性の低さを実感しました。これは、工業技術や伝統工芸にかかわらず、日本の産業すべての課題です。ものをつくることに誠実でありすぎるために、ブランド価値をつけて高く売ることに罪悪感を感じるためでしょうか。このあたりのマインドセットをどうやって克服していくかが、今後の日本の産業の課題であると痛感した次第です。 向 山
有田焼の新たな風を起こすために立ち上げた新しいプロジェクトは、順調なスタートを切ることができました。これもひとえにご支援頂きました多くの皆様のおかげです。この場をお借りし、心よりお礼を申し上げます。今後は国内外の美術を愛する皆様のために、新たな作品の創作を行っていく所存です。今後ともご支援のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。CEO, YU Creation Co., Ltd. 向山繁